食中毒は家庭でも発生する—-未然に防ぐ安心生活と対策—-
食中毒というと、飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生してい ます。ただ、家庭での発生では症状が軽かったり、発症する人が1人や2人のことが多いことから風邪や寝冷えなどと思われ、食中毒とは気づかれない例も多いのです。
厚生労働省に報告のあった食中毒事件をみても、家庭の食事が原因の食中毒が全体の20%近くもあります。食中毒には、細菌性食 中毒(O-157やサルモネラなどの細菌が原因)、化学性食中毒(食品に洗剤などの物質が混入したことが原因)、自然毒性食中毒 (毒きのこや自家調理のふぐなどを食べたことが原因)などがあります。特に多く発生しているのがO-157に代表される細菌性の 食中毒で、全食中毒のうち90%程度を占めています。簡単な方法をきちんと行えば、細菌による食中毒を予防することができます。
食中毒予防の3原則
食中毒防止には、左記の三原則が基本です。「冬の寒い時期だから」または、「冷蔵庫に入れて食材が冷えているから」といって安心しないようにしましょう。ほとんどの菌は低温・高温が苦手ですが、細菌の増殖には“水”が欠かせないので『乾燥』させる(特に器具類)ことも予防になります。
①肉、魚、野菜など生鮮食品は新鮮な物を、表示のある食品は消費期限をしっかり確認した上で、購入する。
②購入した食品は、ビニール袋などに分けて包み、肉汁や魚の水分がもれないように気をつける。
③冷蔵や冷凍の必要な食品は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる。
④冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎは厳禁。7割程度が適当。
⑤冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は、-15℃以下に維持することが大切。細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止するが、死ぬわけではないので、早めに使いきるようにする。
⑥肉、魚、卵などは、取り扱う前と後に必ず手指をせっけんで洗うと、細菌汚染を防ぐのに有効。
⑦生の肉や魚を切った後、洗わずにその包丁やまな板で、果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめる。洗ってから熱湯をかけた後に使う。
⑧包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに洗い、ふきんのよごれは、漂白剤に一晩つけ込むと消毒効果がある。包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけるのがよい。たわしやスポンジは、煮沸か、除菌効果のある洗剤を使う。
⑨加熱して調理する食品は十分に加熱する。中心部の温度が75℃で1分間以上加熱するとよい。
⑩調理後の食品は、室温に長く放置しない。例えば、O-157は室温でも15~20分で2倍に増える。
⑪残った食品を温め直す時も十分に加熱する。めやすは75℃以上。味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱する。
⑫ちょっとでも怪しいと思ったら、食べずに捨てる。